朝がつらい、体が動かない、学校に行けない……。
それなのに「怠けてるだけ」と言われてしまう。
起立性調節障害(OD)は、そんな誤解や孤独の中で、多くの子どもや若者が悩み続けている病気です。
この記事では、医学的な情報だけでなく、親や先生が読んで役立つ本、そして実際に起立性調節障害と向き合ってきた当事者自身が綴った本や体験記をご紹介します。
どの本も、症状に悩む本人やその家族、支える人たちに、そっと寄り添ってくれるような内容ばかりです。
起立性調節障害ってどんな病気?
起立性調節障害とは、自律神経の働きのバランスが崩れ、血圧や心拍数の調節がうまくいかなくなる病気です。
朝起きられない、立ちくらみ、だるさ、頭痛、動悸など、さまざまな身体症状が起こります。
中高生など思春期に多く、成長の過程で自然に治ることもありますが、重症化すると学校に行けなくなり、不登校になるケースも少なくありません。
でも見た目にわかりにくく、周囲から「怠けてる」と誤解されやすいのが、この病気のつらいところです。
▼こちらで詳しくご紹介しています。
まず知っておきたい、やさしい解説書
『小児科医が伝えたい 起立性調節障害 症状と治療』(著:田中 大介)

小児科医が伝えたい 起立性調節障害 症状と治療 (出展:Amazon)
おすすめポイント:小児科医による具体的な家庭・学校での支援方法が一冊にまとまっています。
おもに起立性調節障害の子どもの家族や学校関係者向けにまとめられたもので、疾患のメカニズムや実態、家庭や学校での本症との向き合いかたのノウハウなどが紹介されています。図解や実例のケース、体験談なども多数掲載されており、総合的な理解につながるでしょう。
『起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本』(著:田中 大介(監修))

起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本 (出展:Amazon)
絵本のような親しみやすいイラストとともに、起立性調節障害の症状、原因、治療方法を紹介してくれます。医療的な説明もやさしく、初めてこの病気を知る人にもぴったりです。
『図とイラストでよくわかる 子どもの起立性調節障害』(著:田中 英高)

図とイラストでよくわかる 子どもの起立性調節障害: 最新の診断・治療から日常生活のサポートまで (出展:Amazon)
医師としての豊富な経験をもとに、図解でわかりやすく解説。子どもの状態を理解し、周囲がどう接すればよいかがよくわかります。家庭や学校での支援にも役立ちます。
親や先生のための本――対応のヒントが満載
『起立性調節障害 お悩み解消BOOK「朝起きられない」子に親ができること!』(著:吉田 誠司)

起立性調節障害 お悩み解消BOOK「朝起きられない」子に親ができること! (出展:Amazon)
親としてどんな言葉をかければいいのか、どうやって子どもの生活を整えていけばいいのか――。日々の悩みに寄り添う形で、実践的なアドバイスがたっぷり詰まっています。
『診る・治す・よりそう 子どもの起立性調節障害』(著:石﨑 優子(編集))

診る・治す・よりそう 子どもの起立性調節障害 (出展:Amazon)
おすすめポイント:多職種視点+当事者の声が収録され、医療・教育・支援現場での共通言語になり得る実用書です。
「起立性調節障害(OD)ってどんな病気?」といった基本的な内容をはじめ,診断や治療の方法,多職種による支援方法、さらに当事者の方の声など、さまざまな角度から子どものODに迫っています
診療の現場で不登校と接してきた眼差しから学ぶ
『マンガ 脱・「不登校」』(著・マンガ原作:加藤 善一郎)

マンガ 脱・「不登校」 (起立性調節障害(OD)克服と「だいじょうぶ感」をはぐくむ) (出展:Amazon)

マンガ 脱・「不登校」2 (起立性調節障害(OD):長期化する「OD複合型」への対応) (出展:Amazon)

マンガ 脱・「不登校」3 (起立性調節障害(OD):特性を認め合う「おたがいさま」のまなざし) (出展:Amazon)
おすすめポイント:不登校の背景にある「起立性調節障害(OD)」と複合する発達特性をマンガでわかりやすく紹介する人気シリーズ。シリーズ全体を通して読む価値あり。
小児科臨床の現場で、「不登校」で悩む多くの子どもたちとその保護者・先生方と接してきた著者が、「不登校」の原因の一つである「起立性調節障害(OD)」、複合する発達特性(ADHDなど)について、わかりやすいマンガと詳細な解説を元に紹介しています。
1巻では、「不登校」を克服する最も大切な鍵は「だいじょうぶ感」であること、進路は1つではないことが解説されています。
2巻では、起立性調節障害や発達特性を改めて正しく理解するとともに、WISC検査への評価や、IQだけではわからない隠された「知的アンバランス」の存在などが明らかにされています。
3巻では、親子、先生生徒という立場ではなく、「おたがいさま」のまなざしが持てれば、ODや特性への本質的な理解や支援のあり方が見えてくるのではないかと解説されています。
ぜひ、全巻一気読みしたい本です。
当事者が語るリアルな声に触れる
『今日も明日も負け犬』(著:小田 実里)

今日も明日も負け犬 (出展:Amazon)
おすすめポイント:16歳の当事者が自らの体験を書籍化し、さらに仲間と映画まで創り上げた、そのエネルギーに胸が熱くなります。
「eiga worldcup 2021」で最優秀作品賞、他11の賞を受賞した映画原作。
「起立性調節障害」という病を抱えた中学生の夏実は、保健室登校を始め、そこで、全く笑わないひかるという少女に出会う。夏実は高校受験を乗り越え、高校生で病と闘いながら映画を撮影。一方ひかりは…
病と青春とそれぞれの生き方が、16歳の感性で描かれた一冊。涙なしでは読めません。
『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで-起立性調節障害とわたし』(著:月本 千景)

学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで-起立性調節障害とわたし (出典:Amazon)
おすすめポイント:約3年間ほぼ不登校だった経験を通し、診断前の暗闇から漫画家になる夢への希望まで、リアルな心の動きが描かれています。
病気の兆候は、授業中に突然起こった――
度々起こる記憶喪失。それに伴い、コミュニケーション能力と学習能力の低下が著者・チカゲを襲った。原因がわからず戸惑うチカゲは、「何とかしなければ」とさまざまな対策を試みる…
著者自身、暗くて思い出したくないと思っていた過去の出来事だったが、今回漫画に描くことで、病名が判明するまでの混沌とした気持ち、診断がついた瞬間の安堵、家族や友人・先生など周囲への感謝、「皆と違う」ことへの不安、夢への希望を持つことの大切さ、さまざまな感情に気づき、迷いながらも成長していく姿が描かれています。
同じ病気で苦しんでいる人はもちろん、病について知らない人も思わず引き込まれることでしょう。
まとめ――起立性調節障害と向き合うために
起立性調節障害は「見えない病気」として誤解されやすいですが、適切な理解と対応で症状の改善や生活の質の向上が期待できます。今回紹介した書籍は、医学的な知識から生活の工夫、そして当事者の声まで幅広く網羅しています。
親や教育者、医療従事者はもちろん、当事者自身もこれらの書籍を活用し、病気と向き合う一助になると幸いです。支援者が増え、理解が深まることで、起立性調節障害に苦しむ子どもたちが安心して暮らせる社会につながっていくことを願っています。
おわりに――まずは、話すことからはじめませんか?
起立性調節障害に限らず、「わかってもらえないつらさ」は心の重荷になります。
けれど、病気を知り、共感してくれる人と出会えたら――その重さはきっと少しずつ軽くなっていきます。
もし、いま悩んでいることがあるなら、一人で抱えこまずに話してみてください。
学校や医療機関、そしてカウンセラーなど、あなたの声を受け止める準備ができている人たちがいます。
私も、そんな「つながり」のひとつでありたいと思っています。
「少しだけ話してみようかな」と思ったら、どうぞ気軽にご相談ください。
個別カウンセリングについて
一人で抱えこまず、まずは話してみる一歩を。もし「ちょっと話してみようかな」と思ったら、OD専門の個別カウンセリングが支えになります。
▼続きをこちらからご覧ください。
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