「もしかして…?」と思ったら――起立性調節障害 ODタイプ別サイン&チェックリスト

豆知識

はじめに:気づいていますか? 子どもの「小さなSOS」

朝、「なんかしんどい」とつぶやく子ども。

でもそれが「甘え」や「怠け」だと、うっかり片付けていませんか?

OD(起立性調節障害)は、自律神経の調整がうまくいかず、立ったときに体に負担がかかる病気です。

全体で6つあるサブタイプによって、子どもの訴えはさまざま。

今回は各タイプごとに、

• 子ども本人がどんな言葉や行動でサインを出すか

• 保護者・先生が見逃しがちな兆候

をまとめ、最後にチェックリストで「気になるサイン」を振り返ります。

 

ODの6つのサブタイプと【子どもの訴え・保護者のサイン】

ODの6つのサブタイプと子供の訴え、そして、保護者が気づきやすい子のサインを下記にまとめました。

タイプ 主な特徴 子どものよくある訴え 保護者が気づきやすいサイン
① 起立直後性低血圧(INOH) 立ち上がってすぐ血圧が急低下 「立ったら頭がクラクラ」「胸がドキドキと言わないけど…」 顔がぼんやり。授業開始時のふらつき。
② POTS(体位性頻脈症候群) 血圧は維持されるが心拍数が↑(30〜40bpm以上) 「すごく動悸がする」「めまい・吐き気・頭痛」 動き出すと手足が冷える、顔色が変わる。
③ 血管迷走性失神(VVS) 長い立ち姿勢や緊張で失神しやすい 「保健室で急に倒れた」「クラっとして意識飛びそう」 一瞬目を閉じる、顔色が急に青白くなる。
④ 遷延性起立性低血圧(DeOH) 立って数分後にゆっくり血圧が低下 「最初は平気でも、だんだんしんどくなる」 授業中に机に突っ伏す、だるさで動きが鈍い。
⑤ 起立性脳循環不全型 心拍・血圧は正常でも脳血流が低下 「頭がぼんやりして集中できない」「何も考えられない」 表情がぼーっとし、会話が噛み合いにくい。
⑥ 高反応型(高血圧反応) 立ち上がると血圧が急上昇 「なんか息苦しい」「急にイライラする、理由わからん」 顔が紅潮、イライラで普段と違う態度。

医学的根拠と解説

• POTS:立ち上がると心拍が30~40bpm以上上昇。めまい、頭痛、動悸が特徴(POTSと自律神経の会

• VVS:迷走神経が働き、血圧と脈拍が急低下する一過性の失神(J-STAGE

• INOH/DeOH:立ち上がり時にすぐor数分後に血圧低下。起立試験で診断(日本小児心身医学会

• 脳循環不全型/高反応型:近赤外線分光法や連続血圧測定などによる新しい分類(科研費成果報告

 

チェックリスト:気になるサインは?

以下のチェック項目を見ながら、今の状態を振り返ってみてください。

□ 朝の立ちくらみ・クラクラがある

□ 動悸や息苦しさが立ったときに強く出る

□ 夕方になると異様に疲れて動けない

□ 授業中や外出先で失神・意識が遠のくことがあった

□ 表情がぼーっとして集中できない様子がある

□ 急なイライラや、感情の波が激しくなっている

□ 保健室に頻繁に行く、または学校に行けない日が続いている

□ 生活リズムが不規則になっている(昼夜逆転など)

2つ以上当てはまる場合は、ODの可能性がありそうです。

4つ以上当てはまるなら、一度医療機関へ相談してみるとよいでしょう。

 

親・先生ができる“気づきのコツ”

1 「体のこと、最近どう?」と聞いてみる
 質問は曖昧にせず、「朝のめまいは?」「授業中はしんどかった?」と具体的に。

2 子どもの行動に変化がないか観察する
 朝の表情、登校準備、学校帰りの様子など、普段との違いに注目。

3 記録をとる習慣をつける
 手帳やアプリで体調・食事・睡眠を記録。診察時にも役立ちます。

 

専門機関に相談したほうがよいケース

以下に当てはまる場合は、専門の医療機関(小児科・心療内科・自律神経外来など)への受診をおすすめします。

• 失神や転倒を起こした

• 動悸・息切れが続いている

• 学校や生活に支障が出ている

• 親子関係にも緊張が生まれている

 

まとめ:見えにくいけれど、確かな「からだの声」に耳をすませて

起立性調節障害は、決して珍しい病気ではありません。

「しんどい」と言い出せない子どもの言葉にならない声を、どれだけ周囲がキャッチできるかが大切です。

一人ひとり異なるサインや症状があります。

まずは「気になる」を大事にし、日常の小さな変化を観察していくことから始めてみましょう。

 

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