「朝起きられない」は不登校ではなく病気かも? 起立性調節障害(OD)を理解する

豆知識

「朝になっても起き上がれない」「めまいや頭痛で動けない」──。
お子さんがそんな症状を訴えると、つい「甘えているのでは」「学校がイヤなのでは」と思ってしまいがちです。
しかし、その裏には「起立性調節障害(OD)」という自律神経の不調が隠れていることがあります。

ODは「登校の意思はあるのに、身体がついてこない」状態をもたらします。

この記事では、ODと不登校の関係性を正しく理解し、親としてどう対応すればよいか(医療面・学校対応・家庭内の接し方)を、具体的にご紹介します。

起立性調節障害とは?

起立性調節障害とは、立ち上がったときや朝起きたときに、血圧の調節がうまくいかず、全身に血液が行き渡らなくなる病気です。
主に自律神経の働きが不安定になることで、頭痛やめまいや倦怠感などさまざまな不調を引き起こします。

また、朝の起床時に不調が出ることが多く「怠けてる」などの誤解をされることもあり、本人はもちろん、ご家族の方も辛い思いをされるケースが多々見受けられます。

詳しくはこちらの記事でまとめています。

不登校とODはどう違うの?

不登校とODはどう違うのでしょうか?
学校に行っていない/行けていない/行かないという事象は同じように見えますが…
簡単にまとめました。

不登校

  • 原則として「保護者が認める欠席が年間30日以上」
  • 原因は「学校環境」「人間関係」「学習面の不安」など多岐にわたる

起立性調節障害(OD)

  • 自律神経の乱れによる「立ち上がり時の血圧低下」が主な原因
  • 朝や立位でのめまい、動悸、頭痛、倦怠感など身体症状が強い
  • 午後になると症状が和らぐことが多い

ポイント: ODは「行きたくても身体がついてこない状態」。不登校とは別の視点での「登校困難」です。

ODが原因で子どもが学校に行けなくなる理由

1. 朝の起立困難

  • 起立時に血圧が下がり、めまいや嘔気を感じる
  • 登校時間に間に合わず「遅刻」「欠席」が続く

2. 周囲の誤解とプレッシャー

  • 「早く起きなさい」などの叱責がストレスに
  • 「怠け」と判断され、自己肯定感が低下

3. 心理的ストレスによる悪化

  • 学校に行きづらい辛さが不安・抑うつを生む
  • 自律神経の乱れがさらに悪化して、慢性的な不登校へ

ポイント:ODから不登校へ移行する最大のポイントは「身体症状への理解不足」といえるでしょう。

はじめはなかなか理解できなかった…
受け入れるまでに時間がかかった…
という親御さんのお話を伺うことがよくあります。

「病気だから心の問題ではない」?親が知っておきたい誤解

ODは「身体の不調」がベースですが、症状が長引くと「学校に行けない自分」に対する不安や自己否定を生み、心のケアも必要になります。
親が「気合いでなんとかしなさい」と言い続けると、子どもの負担は倍増。
身体面・心理面を同時にケアする姿勢が大切です。

もっと理解を深めたい方へ

起立性調節障害の正しい理解と支援のヒントを知りたい方は、関連書籍の記事も参考になります。

▼起立性調節障害に関する書籍一覧はこちら

書籍には、当事者や専門家の声、具体的なエピソード、サポート方法の解説が豊富に掲載されており、親子で読むことで「自分だけじゃない」と安心できることでしょう。
この「安心」が回復のための第一歩だと思っています。

“怠けているのでは?”と悩んでいた親御さんも、正しい知識を得て安心されたケースが多くあります。

周囲の誤解とプレッシャーが子どもを追い詰める

見た目にわかりにくい不調

  • めまい・だるさは外からは見えず、周囲は「起きられない=怠け」と誤解しやすい

「行かせなきゃ」という焦り

  • 学校や周囲からのプレッシャーが、不登校をさらに深刻化させる

親の孤立感

  • 「うちの子だけ?」という不安で、相談先がわからないまま一人で抱え込むケースも

ポイント:ODの子どもを支えるには、子どもも親も、まず周囲の「わかってもらえない辛さ」を解消することが大切です。

実際に当事者家族である私は、定期的に相談し、「わかってもらえない辛さ」を聞いてもらっていました。そのおかげで前に進めています。

保護者ができる3つのサポート方法

1. 医療機関での正しい診断・治療

  • 小児科・心療内科・思春期外来などで「起立試験」「血圧測定」を実施
  • 必要に応じて薬物療法(昇圧剤、漢方など)や漢方での体質改善

2. 学校との連携・環境調整

  • 保健室登校や別室登校の選択肢を提案
  • 事前に出席扱いとする「医療的欠席」の制度を活用
  • 担任・養護教諭・スクールカウンセラーと情報共有し、無理のない登校計画を立案

3. 家庭内での接し方

  • 叱責・比較を避ける:「○○ちゃんは行ってるのに」など言わない
  • 小さな一歩を褒める:「今日は10分座れただけでよく頑張ったね」
  • 自己肯定感の維持:子どもの話を聴き、気持ちを受け止める

ポイント:医療・教育・家庭とが連携して、子どもが「ありのままの自分でよい」と思える環境を作っていくことが大切です。

 

まとめ 「病気」と「心」の両面から支えることが大切

起立性調節障害と不登校は、切っても切れない関係にあります。
「病気だから行けない」「心の問題でもある」という両面から理解し、医療・教育・家庭の三者がチームとなってサポートすることが、子どもの回復への近道です。

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  • 病院に行ったけれど、これからどうすればいいか不安…
  • 学校との連携方法がわからない
  • チーム連携したサポートが必要なのはわかっているけれど、どうしたらいいのかわからない…
  • 親である自分が辛すぎて行動に移せない…
  • ただただ不安ばかりが襲ってくる…

このような思いを抱えておられる方もいらっしゃると思います。

そんな時は、ぜひご相談ください。
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