はじめに:毎日の積み重ねが、少しずつ「調子のいい日」を増やす
起立性調節障害(OD)に悩むお子さんやご家族から、よくこんな声を聞きます。
「朝が起きられないのは、気持ちの問題なの?」
「治すために、家でできることはないの?」
ODは、気合や根性ではどうにもならない自律神経のアンバランスによる病気です。
けれど、自宅での生活習慣の見直しによって、症状が和らぐケースは少なくありません。
この記事では、起立性調節障害の子どもが家庭で取り入れやすい、5つのセルフケア習慣をご紹介します。
1.水分と塩分補給:朝イチの1杯がカギ
起立時の血圧低下を防ぐには、血液量を増やすことが重要です。
そこで推奨されるのが、「朝起きたらすぐに水分と塩分を摂る」こと。
具体的な方法
• 起床後すぐ:コップ1杯(200〜300ml)の水 or 経口補水液
• 食塩水(0.9%食塩水)や味噌汁、梅干しもおすすめ
2.体を締めるグッズ:圧迫ソックス・腹巻・ベルト
血液が下半身にたまりやすいODでは、下半身を“締める”グッズが効果的です。
おすすめアイテム
• 弾性ストッキング(医療用の着圧ソックス)
• 骨盤ベルト・腹巻き
• スポーツ用着圧ウェア
朝起きてすぐに装着し、午前中だけでもつける習慣をつけてみましょう。
3.座ったままでもできる簡単運動
激しい運動は体調を崩しがちなODの子どもたちにとって、無理のない筋トレやストレッチが重要です。
おすすめの運動例
• かかと上げ・つま先上げ(足の筋ポンプ刺激)
• 椅子に座ったまま膝上げ
• 寝たまま足を交互に上げる腹筋トレーニング
「今日はできた」という小さな成功体験が、自己効力感にもつながります。
4.朝の過ごし方:起き上がる前のひと工夫
急に立ち上がると、めまいや吐き気が出ることがあります。
起床後すぐにベッドから立たずに、“段階的に起きる”習慣をつけましょう。
起床のステップ
1 目覚ましのあと、布団の中で深呼吸
2 上体だけを少し起こして、座って飲み物
3 ゆっくりと足を下ろして椅子に座る
4 10分ほど静かに過ごしてから行動開始
これだけでも、立ちくらみや脱力感を防ぎやすくなります。
5.バランスのとれた食事と「朝食リズム」
起立性調節障害の症状改善には、3食しっかり食べることも欠かせません。
とくに朝食は、体内時計を整えるうえでも重要です。
意識したいポイント
• タンパク質(卵・納豆・ヨーグルトなど)を必ず
• 炭水化物+塩分でエネルギー補給
• 甘い飲み物や菓子パンだけはNG
「毎朝決まった時間に、少しでも口にする」を目標にしましょう。
まとめ:できることから、少しずつ
起立性調節障害は「波」がある病気。
良い日もあれば、しんどい日もある。そんな毎日のなかで、“できることを重ねる”ことが未来につながります。
下図に5つのセルフケア習慣をまとめました。
• 起きたら水分・塩分
• 圧迫グッズで血流サポート
• 座ったまま運動
• 朝起きた時の動きをゆっくりに
• 朝食は抜かず、タンパク質を意識
どれかひとつから、始めてみてください。
お子さんの「今日は少し調子がいいかも」を増やしていく、その積み重ねを私たちも応援しています。
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